台湾で列車が脱線、51人死亡 146人が病院で治療

花蓮県=石田耕一郎

 

台湾東部の花蓮県で2日午前9時半(日本時間同10時半)ごろ、台湾鉄道の特急列車「タロコ号」(8両編成)がトンネル付近で脱線した。台湾鉄道などの事故対策本部などによると、乗客・乗員50人が死亡し、日本人2人を含む146人が病院で治療を受けた。トンネル内が狭く救助が難航しており、被害が拡大する可能性がある。

 台湾メディアは「過去50年で最悪の事故」としている。日本外務省によると、列車に50代男性と20代女性の日本人が乗っていたが、いずれも軽傷だという。

 台湾鉄道によると、事故が起きたのは和仁駅と崇徳駅間の清水トンネル付近。タロコ号は台北郊外の樹林駅から台湾南東部の台東駅に向かっていた。台湾はこの日、彼岸に当たる清明節の連休初日で、列車はほぼ満席だった。乗客・乗員計496人が乗っていた。

 現地の消防当局や台湾メディアによると、タロコ号がトンネルにさしかかった際、何らかの原因で線路に滑り落ちた工事用車両と衝突し、脱線した。8両のうち6両はトンネルの中に突っ込み、壁にぶつかって車両が変形している。トンネル入り口付近にはぶつかった工事用車両とみられる残骸が散乱している。線路のそばの高い場所に止めた工事用車両のサイドブレーキがかかっていなかった可能性があり、運転手が取り調べを受けている。タロコ号は日立製作所製だった。

 警察によると、8~5号車は損傷が激しいといい、線路が単線でトンネル内が狭いこともあって、救助作業は難航している。

 台湾鉄道では18年10月にも18人が死亡する特急列車の脱線事故があり、地元メディアによるとその前年も14件の脱線事故が起きた。背景には経営難や人員不足があると指摘されている。(花蓮県=石田耕一郎)

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